堂本尚郎

堂本尚郎

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伯父の堂本印象をはじめ、多くの芸術家を輩出した名門一族のもと、1928年京都に生まれ、23歳で日展特選を受賞するなど華々しいデビューを飾る。1952年、印象に随行してヨーロッパを周遊したことがきっかけにフランス留学を決意、55年単身パリへ渡り、日本画から油彩画へと転じる。56年にミシェル・タピエやサム・フランシスなどと知り合い、アンフォルメルの活動を行う。1957年にはギャラリースタッドラーで初個展を開催、その後パリやニューヨークを拠点に独自の物質感を強く感じさせる宇宙空間を展開し、国際展でも高い評価を受ける。1961年にかけて堂本のアンフォルメル時代と言われたが、62年になるとアンフォルメルから距離を置き、太い帯状の形態を並べた剛直な構成となる。規則的な並列は物質である絵の具という存在を、無理に精神の統制に従わせようとする強固な意志の表れであり、人間の精神と物質との激しい闘いの軌跡なのだ。後に「連鎖反応」の時代が過ぎ、85年になると画面を覆うS字連鎖の上に正方形や長方形を反復するかのように重ねられた「臨海」と称される時代が始まる。画面構造の複雑さと壮麗さにおいて堂本芸術の一つの完成形であろう。

 

Selected works

連続の溶解
1968
油彩、キャンバス
W1000 × H1000mm

 

無題
1958
油彩、岩彩、紙本
W498 × H650mm

 

無題
1991
アクリル、紙本
W1180 × H585mm

 

Installation View