On Paper: Art and Print Market

On Paper: Art and Print Market

木梨銀士 ショウケイギョウ 末松由華利 山下源輝

2025. 05. 03 - 05. 06

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On Paper: Art and Print Market

アーティスト
木梨銀士 ショウケイギョウ 末松由華利 山下源輝

日程
2025年5月3日(土)~5月6日(水)

開廊時間
11:00 – 18:00(最終日は17:00まで)

 

WHAT CAFEでは2025年5月3日(土)から5月6日(水)までの期間「WHAT CAFE EXHIBITION vol.41 「On Paper: Art and Print Market」を開催いたします。

本展では、ドローイング、ペインティング、版画、写真など、紙を媒体とする作品が一堂に会します。作家にとって最も身近な素材のひとつであり、アイデアの源泉ともなる「紙」を通じて、その表現の広がりを探ります。会場にはアート作品のほか、アーティストによる自主制作の冊子・ZINEなども並び、すべてその場で購入し持ち帰ることができるマーケットの要素も融合した展示です。紙を通じて生まれる多様な表現の魅力をお楽しみいただけます。GALLERY HAYASHI + ART BRIDGEは、木梨銀士、ショウケイギョウ、末松由華利、山下源輝の4名のドローイング作品を発表いたします。

 

出展アーティスト(敬称略・順不同)
■ biscuit gallery:太田るなシャワ、カトウ、キセサクラ、髙久秀美、辻凪彩、本岡景太、弓月
■ GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE:木梨銀士、ショウケイギョウ、末松由華利、山下源輝
■ GALLERY SCENA.:沖綾乃、木下理子、忠田愛、宮﨑菖子、若林菜穂
■ Gallery Yukihira:植田陽貴、大槻香奈、齊藤拓未、中野由紀子、中比良真子、藤川さき、宮川慶子
■ myheirloom:金田剛、平良菫、寺田健人、原田理央、藤瀬朱里、藤田紗衣
■ Otherwise Gallery:加藤崇亮、髙橋健太、都築まゆ美、松平莉奈
■ TAKU SOMETANI GALLERY:愛甲次郎、市川詩織、菊池玲生、小西景子、田沼利規、西村涼、野畑常義、松ほなみ
■ WATERMARK arts & crafts:今泉奏、しろこまタオ、鈴木隆史、古屋真美、山本剛史
■ WHAT CAFE:奥村彰一、タナカマコト、T図案、牧野永美子、宮内紗也果、山本雄教

 

作家プロフィール

木梨銀士

1999年東京都に生まれる。ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ グラッフィックコミュニケーションデザイン修了。印象派の影響を受け、日常の思いがけない瞬間に現れる美しく貴重な風景や、その瞬間に併存する人と空間を描く。独自の視点から捉えられた色彩やコントラストで視覚的な印象を超えた感情や記憶の旅へと誘う。


Garden II、2025、Oil pastel and water colour on paper、203 × 242 mm

 

ショウケイギョウ

昔、大学の入試で、若い自分はこんなふうに聞かれました。「一番描きたいものは何」って。あの時確かに、正直の気持ちで答えました。「おばあさんの家のそばにある庭を描きたいです。」雑草だらけの、誰も手入れしていない野生の庭でした。飼い主のない猫たちが勝手に住んでいます。季節が淡々と庭の風景を塗り直します。生命が生まれて死んでいく。人為的な意味など何一つも持っていない、無造作で、幸福で、自己完結の小さな世界です。子供時代の私にとって、あの庭は世の中で一番優しくて安全な場所でした。時間の流動は穏やかて、「外側」からの侵食さえも入ってこない、誰にも干渉されていない場所でした。子供の自分は「庭」に憧れました。やはり、あの庭こそ自分の中の原初の風景みたいなものです。あれからの絵画全部、これからの絵画も全部、「庭」を作るためのものです。これを前提として制作を続けます。絵を描く行為は、自分にとって、日記を書く行為とほぼ同じ意味を持ちます。周りに起きたこと。夢で見たこと。感じたこと。好きなこと。…日常生活の一つ一つのかけらを描き止め、保存します。「庭」という絵画空間の中に、ぎっしり詰めます。その対象、いわゆるモチーフは、目に見えるものだけではなく、目に見えないものも含めます。描きたいものは、木々、星、森、夜の海、雷鳴、芽吹。描きたいものは、手、顔、両足、血潮、頭の中。描きたいものは、満足、喪失、不安、喜び、寂しさ。描きたいものは、人間と人間の出逢うこと。皆を、丁寧に、丁寧に、私の庭に入れて、現実から虚構へ、一瞬から永遠へ。庭は今日もそこにあります。

secret garden_03、2025、紙に鉛筆、アクリルガッシュ、アクリル、H148 × W210 mm

 

末松由華利

2010年多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業。2017年「シェル美術2017」にて「島敦彦審査員賞」を受賞。2019年 東京オペラシティアートギャラリーにおいて、若手作家の紹介を行うシリーズ展「Project N」に選出され、同館で個展を開催。2020年、第33回ホルベイン・スカラシップ奨学生として佐藤美術館で開催された成果発表展に参加。2022年、フィンランドArteles Creative Centerで開催されたアーティスト・イン・レジデンスへ招致作家として参加した。個人や社会が持つ両極性をテーマに活動する彼女は、自身の手記を基に、テーマの選定、タイトルの推敲、そして無数の下絵とドローイングを経て、個人的かつ具体的な体験や疑問を、抽象化・象徴化することで作品を創り出す。取り扱う主題や題材を、この世に生きる誰もが出会う人生の諸局面へと変換し、描出することで、作品を通じた他者との対話を指向している。さらに近年はテキスタイルメーカーとのコラボレーション商品が発表されたり、百貨店の全国プロモーションで作品がキービジュアルに起用されたりと、意欲的に表現と活動の幅を広げている。


The study for “Visions of a Torn World” 15、2022、Acrylic on paper、H182 × W257 mm

 

山下源輝

1998年神奈川県生まれ。2022年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。現在は山梨県を拠点に活動。

変容し続ける流れの中で形を成す一時の「溜まり」を観測する「器」として、平面と立体を行き来して制作している。私が生きる風景の中にあるテーブルや椅子、傘などのモチーフをもとに生まれた色や形に、奥行きや重さを見出して立体に起こし、制作した立体の中では、形や色を抽出して平面にする。もののある風景を描くことは立体をつくる、立体を作ることは描くことだ。
引っ掻いたりメディウムを擦り付けることは、私が触れ合っている素材や支持体などのものの存在を確かめながら、様相を変え、ものの形を探るための行為だ。環境の影響などで砕けたり風化したりして作品から生まれたもの(立体の脚、破れた布作品、砕けた土台など)も素材(布、鉄、木、粘土、絵具、テーブルの天板、セメント、家屋の柱など)と同列に扱い、また別のものの一部にしている。イメージと物質を受け継いで移ろう流れを作る。元のモチーフとしての機能は流れの中で変化し、椅子だったものは門や止まり木として扱われたりして描かれる。私との関わりや取り巻く環境で平面や立体は、唯一の「器」となり、内包している「溜まり」を観測できる装置になるのだ。

ものがある風景、2025、Oil, charcoal, crayon on paper、H415 × W1210 mm