間

ジョンウォン・ピー

2025. 02. 22 - 03. 22

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アーティスト
ジョンウォン・ピー

会期
2025年2月22日(土)~3月22日(土)

開廊時間
11:00 – 19:00
最終日11:00 – 17:00

休廊日
日曜祝日休廊

会場
Gallery Hayashi

オープニングレセプション
2025年2月22日(土) 18:00 – 20:00

 

GALLERY HAYASHI + ART BRIDGEはこの度、ソウルとニューヨークを拠点に活動するアーティスト、ジョンウォン・ピーによる個展「間」を開催いたします。本展示はピーの日本初個展であり、またピーが所属する韓国のSeojung Artと初の共同主催の展覧会となります。

1993年生まれのジョンウォン・ピーは、韓国、アメリカ、カナダで幼少期を過ごし、プラット・インスティチュート(ニューヨーク)で美術と美術史の学位を取得しました。様々な土地で異なる文化を経験しながら成長したそのノマド的なライフスタイルは、彼の最新シリーズである「Untitled: The Black Path」に強く反映されています。本作品シリーズにみられる黒い背景は、彼自身の揺らぐことのない根本的な自我を具現化しており、ひび割れと複雑なレイヤーで抽象的に構成された画面は、日々の経験で変容していく自身の内面や記憶を表現しています。

直線的かつ単色で分断された黒い背景は、韓国の墨であるムク・インクと黒のジェッソが使用されており、これは東洋と西洋の芸術的伝統の融合を表現しています。これは、何もないこと、何もないがゆえに見えてくるという日本的美意識の「間」に通ずるといえます。そしてこの黒い背景を何物にも代えがたい自分自身と表現したピーは、余分な機能をそぎ落として本質を伝える西洋的ミニマリズムの精神から由来していると考えられるでしょう。

一方、ひび割れたテクスチャーは、物質そのものが意味を持つという新表現主義のアプローチを想起させます。彼は金粉、木の葉、セメント、化学薬品など、さまざまな素材を組み合わせ、何層にも塗りと乾燥を繰り返して作品を制作します。サンフランシスコ近代美術館のインタビューで「色彩を魔法としてではなく、物質として見る」と語ったアンセルム・キーファーのように、素材そのものを直接的な言語として扱い、何層にも重ねたテクスチャーや亀裂の入った画面を作ることでその哲学を受け入れています。

本展示のタイトルにもなっている「間」とは、日本人が古来より大切にしてきた美意識の一つです。それは、虚と実の対比にこそ豊かな意味や美しさが宿るという考え方を示しています。ジョンウォン・ピーの作品は、この「間」の概念を現代的な視点で捉えなおし、新たな表現へと昇華させています。二つの対照的な画面が作品全体を際立たせている新作、近作8点を発表いたします。ジョンウォン・ピーの日本で初の個展を、ぜひともご高覧ください。

 

Jungwon Phee
Untitled: The Black Path CCCLXXXI
2025
Oil on canvas,
W1121 × H1455 mm

Jungwon Phee
Untitled: The Black Path CCCXCIV
2025
Oil on canvas
W454 × H530 mm