茫洋/波打つリズム
作家
新井碧、吉見紫彩
会期
2023年12月8日(金)~12月23日(土)
前期 12月8日(金)~12月16日(土) (吉見大作品・新井小中作品)
後期 12月18日(月)~12月23日 (土) (新井大作品・吉見小中作品)
時間
11:00 – 19:00
最終日11:00 – 17:00
休廊日
12月17日(日) 展示替えのため休廊
会場
Gallery Hayashi
GALLERY HAYASHI + ART BRIDGEはこの度、新井碧と吉見紫彩による二人展「茫洋/波打つリズム」を開催いたします。
本展覧会は、前期12月8日〜16日、後期12月18日〜23日の日程で行われます。前期は吉見の大作品、新井の小中作品を、後期は新井の大作品、吉見の小中作品を発表いたします。
新井碧と吉見紫彩はともに身体性に強い関心を持っており、また制作の中で生まれる偶然性や即興性を取り入れながら作品を作り進めていくという共通点も挙げられます。
新井碧の作品にみられるエネルギッシュなブラッシュストロークや無限の空間を想起させる構図は、身体の有限性に基づいて描かれています。自身の体が記憶している動きによって、はたまた無意識的に導かれ画面に現れた筆跡やレイヤーからは、新井自身の記憶や鼓動が鮮明に読み取れるでしょう。新井の作品に対峙した鑑賞者は彼女が残した痕跡を追うことで、自身の有限性に気づくでしょう。
吉見紫彩は神話や儀式、伝承、風習といった、抽象的な概念をテーマに作品制作を行う作家です。ユヴァル・ノア・ハラリが「虚構の共有」と述べた、抽象概念を共有する人類の特殊性を参照しつつ、環境や身体も抽象概念を共有する道具と考え、それらの持つ偶然性や瞬発性に委ねたラインや色彩を重ね合わせて描いていきます。本展示では歌舞伎の舞台装置やバレエの身体性をモチーフにした作品を展開していきます。
新井と吉見の二人に見て取れる身体性と偶然性、その二つの交錯を前期・後期の両日程でお楽しみください。
『茫洋/波打つリズム』
その絵から、あらゆる生命の根源である「海」を連想した。
脈動する波の中育まれる時間の果てしなさ、永続性は
絵画の普遍的な無限性と寂しさが似ている。
暮らし、営みに変化する手前の呼吸をかたどるように、
あるいはその鼓動、動作の躍動を残すように。
私たちのそれらの手段が絵であった。
*
霧がかったように淡い色の層を重ね、即興的に形や線を残していく吉見の絵画はまるで眠りの中にいるように茫漠たる様相を持つ。
水平線がグラデーションの中に溶けた夕暮れの海のような、世界のボーダーラインがぼやけ、まるで万物のみなもとはひとつだったような、まどろむような印象を与える。
新井の絵画のストロークはいきいきとした瞬発力に満ちていて、その線には身体由来の強弱が生々しいまでに残されている。
また、描いた順序を明らかとしないレイヤーの構造は、
ヒエラルキーをあえて作らずどれだけ内在化された手法を捨てられるか、無意識性を表出できるかといった格闘の痕跡でもある。
イメージにかたちどられる手前の美を、動作の一歩手前の思考と誘発を、その無意識性に宿る儚さを掬って残すという手段の中で、そうしてずっと、本質のありかを手繰り寄せている。
Installation View