高野萌美
⾼校を卒業後に渡英、 ロンドンで現代アートを学ぶ。 現地の⼤学で哲学や歴史との連関でアートを捉える教育を受けたことや、 エコロジー思想への関⼼から⽇⽤品や植物などの有機物を⽤いて⼿作業で作品を作っていたことが、 現在の⽂字や⾔葉(Text)と布や⽷(Textile)を
⽤いた制作スタイルの確⽴に繋がっている。 2018年から国内外のさまざまな場所へ出かけ、紡ぎ、染め、織り、刺繍など布の製造にまつわる⼿作業の現場を観察し、その経験を元にスタジオで実験制作に励んでいる。
[ステートメント]
私はこれまで、⼈がある⼟地に居住し⼀定の時間を過ごすなかで培った精神性や、それを語るための⾔語としての視覚表現がいかに求められ、かつ獲得されるのかという過程に関⼼を寄せて創作活動をしてきた。特に近年は膨⼤な時間をかけて⽬の前の物質と触れ合うことで
しか成しえない表現があり、そしてそれはあらゆるものの簡略化、迅速化、デジタル化を経験している現代において未だ有効である、という信念のもと作品を制作している。⾐服や⽇⽤品、絵画のキャンバスなどに形を変え私たちの⾝の周りに存在している布を出発点に、
60年代前後にミニマリズム、ポストミニマリズムの作家と呼ばれたアーティストたちの仕事を参照しながら、テキスタイルという媒体に対する認識を⽷や繊維、労働の単位にまで拡⼤・分解し、それらの物質や⾏為が持つ特性や⼒が最⼤限引き出される契機としての空間の再
構築を試みている。
Selected works
盗用と修復 / Appropriation and Restoration
2021
アクリル絵具、スプレー、パステル、壁材、 刺繍した布、木製パネル
W557 × H263 × D40mm
青き日々 / Youth
2021
手紡ぎの綿糸、ブルーベリー、 アクリル絵具、壁材、木
W164 × H49 × D215mm
Installation View